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育児奮闘中パパの備忘録ブログ

『Fall of the watch-覚醒-』

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こんにちは。きたのけいごです。

いつもブログを読んでくださり、

ありがとうございます

m(๑>◡<๑)m m(๑>◡<๑)m

 

大変遅くなりましたが、壊れた腕時計の話をもとにした、ほぼノンフィクション小説『Fall of the watch-覚醒-』を一部加筆、修正を行いながら書き上げました。前回分も含めて最初から掲載させて頂きます。

※今まで一切小説などは書いたことはないため、稚拙な文章でお目汚しとなりますが、どうぞご容赦下さい。

   今回に至る経緯はコチラ↓↓↓

kitanokeigo.hatenablog.com

 

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ほぼノンフィクション小説

『Fall of the watch-覚醒-』

 〈目次〉

 

〈プロローグ_朝日と腕時計〉

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2018年10月18日木曜日の朝。この数ヶ月、北海道での頻発する地震が心配される中、別の県にあるここS市では、普段からほとんど地震はない。朝日で部屋が明るくなり始めたリビングにいる私は、床に転がっている壊れた腕時計を見つめながら、この原因についてまず最初に地震のことを考えていた。気象庁地震情報を確認したが、やはり夜間に地震はなかった。では次に人為的な要因はどうか。子供達は朝まで起きることなく眠っていた。妻も私の遅めの夕飯に付き合ったのち布団に入った。原因が全く分からない。しかし、分からないといっても無論、腕時計が棚から勝手に落下するわけはないのだ。

そう、この真相に迫るには、昨夜の出来事を振り返らなければならない。土砂降りだった夜のこと、そして彼のことを・・・

 

〈昨夜への回想〉

〈帰路_土砂降りとワイパー〉

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私は仕事を終え、帰路の車内で時間を気にしていた。カーオーディオのデジタル時計は、秒針代わりのコロンを心なしか1秒よりも早い間隔で動かしているように感じた。交差点の信号で車を停めた直後、もう1度時計に目をやると、4回ばかり点滅したコロンを見送ったのち『2100』の数字が並ぶ。その後、発進する車体のかすかな揺れと同時に、右のこめかみから頬にかけて一筋の汗が流れるのを感じた。

「リミットまであと30分、・・・間に合うだろうか」

ワイパーのスピードがこれ以上早くならないことに少し苛立ちながら、更に勢いが増す雨の中、自宅へと車を進めた。

 

〈駐車_音質と音量〉

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閑静な住宅街・・・とは言いがたい場所。いつもと変わらず、この時間帯ですら周囲から車のクラクションやパトカーのサイレンがけたたましく鳴っている。その一画に自宅はあった。一軒家、アパート、マンションが立ち並ぶ、その場所では車の運転においてアクセル量に気をつけていた。なぜなら私の車のエキゾーストノートはマフラーの経年劣化により音質は低下し、音量が増していた。周囲からの騒音と一体化しかねない。そんな理由のため、自宅駐車場の手前では5速マニュアルのシフトレバーをニュートラルに入れ、慣性で車体を転がすのが習慣となっていた。一連の操作にて駐車した。到着したのは21時22分のことだった。

「どうにか、間に合った・・・」

安堵とともにエンジンを切った。

 

〈帰宅_ダウンライトと寝息〉

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依然、雨は激しく降り続けている。車を降りてから玄関までのわずかな時間でずぶ濡れになりながらも、ジャケットの左ポケットから鍵を取り出し、ドアを開けた。

家の中の照明は玄関、リビング、各部屋全てダウンライトのみになっていた。これは子供達を寝かしつけるためにいつもそうしている。なんら変わりはない。そして寝室からは妻の寝息が聞こえてきた。子供達の寝かしつけで一緒に寝てしまっていた。きっと、時期に起きてくるだろうが、なるべく音を立てないように濡れたジャケットやカバン、腕時計を普段とは別の場所に一旦置き、キッチンの電気を点けた。

 

〈夕飯_壊れかけレンジと21時30分〉

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冷蔵庫から夕飯を取り出した。電子レンジで温めるのだが、購入から何年も経っているせいか、最近は稀にレンジ全体から『ギィギィ』と大きな異音がするようになった。そしてその“稀に”のタイミングに当たり、『ギィギィギィー』とキッチンを中心に鳴り響く。音を立てないようにしていた努力も虚しく、案の定、妻が起きてきた。眠そうにしている妻が一言。

「間に合ったね」

実は『ある理由』により、この1ヶ月は21時30分までに食事をしなければならないのだ。もちろん、食べる場所は自宅でなくてもよいのだが、今晩は家で食べる事にしていたため、焦っていた。あと半月はこのルールを守らなければならない・・・そう思いながら、温まり方にムラのある野菜炒めを食べ始めた。

 

〈睡魔_チェアーと雨音〉

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ご飯、野菜炒め、冷奴、ほうれん草のお浸し、これらを残すことなく食べ終えた。普段は食事の後にメール確認や読書、入浴等を行うのだが、なぜだかリクライニングチェアーへと足が向いた。そして、角度が開いたチェアーに座るなり、急激な睡魔に襲われた。窓に打ち付ける雨音が次第に遠くなっていった・・・

 

〈仕事_夢と現実の狭間〉

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次の瞬間、私は会社のデスクに座り、某デジタル家電の新製品設計を行っていた。これは半年前から従事している業務だった。ちなみに市販されている自社の現行製品(前回設計品)においては、広告に人気女優を採用し、大々的に発表した。月並みな言い方をすれば『社運をかけた製品』だった。結果としてデザイン、機能ともにユーザーから好評を得ることができ、売り上げも右肩上がりの状況だ。現在、設計中の後継製品は更にこれを上回るものでなくてはならない。そんなプレシャーの中、慌ただしく作業を進めていた。

一連の内容を終え、最終のデータ確認を行う際に問題は起きた。60ファイル以上の完成データ一覧結果が0件になっている。3ヶ月以上かけて設計したデータが全く存在していない。サーバーPC内、ローカルPC内ともに。設計チーム内でも、データ持ち出しや削除については私のみが可能であり、あらゆる権限の委譲は未だしていない。もちろん、システムメンテナンス中でもなかった。この状況から『ハッキング』の文字が頭によぎった瞬間、大きな物音と同時に腹部への痛みが走った・・・

 

〈覚醒_彼と彼の行動〉

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更に次の瞬間、腹部の痛みを感じながら自宅のリクライニングチェアーに座っていた。先程までの設計データ消失は夢だったことに気づき、ほっとしたのも束の間、また激しい物音とともに今度は胸部が圧迫されている。胸の上から「ニャオーン」と聞こえる。

腹部の痛み、胸部の圧迫。そう、これらは愛猫『もも』によるものだった。ももは三年半前から飼っているキジトラ柄の雄猫。当時、目の病気を患った生後約1ヶ月の子猫を近所の廃屋から保護した。すぐに動物病院で診てもらい、目の病気や衰弱していた身体は回復した。その後は病気や怪我することもなく成長した。今では元気過ぎくらいである。

猫を飼っている方はお分かりのとおり、排泄後は高確率でトイレから別の場所へ走り去る。(これは排泄により一定時間いた場所から離れることで外敵から身を守るためと聞いたことがある)また、これとは別に夜間、飼い主が寝静まったあとに激しく遊び始め、全力疾走や高所への飛び跳ねを繰り返す。そのスピード、跳躍力は人間の運動能力をはるかに凌駕する。まさに『覚醒』状態。そしてこれは通称、『夜の運動会』とも呼ばれる行動だ。この運動会の一貫で腹部に飛び乗られたのだ。

そして今は私の胸の上で香箱座り(猫特有の手足をすぼめた丸い状態になる座り方)し、一旦は落ち着いた。しかし、5分程度経ったのち、再度、夜の運動会を始めた。その直後、『ガシャン‼︎』と音がした。暴れた勢いで家具の上の何か小物を落としたのだろう。落ちて壊れるもの、貴重なものは置いておかないようにしているので特に気にせずにいた。そして、また睡魔が訪れてきた。

『さっきの夢の続きはみたくないなぁ・・・』

と心の中でつぶやき、また瞼を閉じた。相変わらず、ももは暴れ続けていた・・・。

 

〈真相_Fall of the watchと覚醒〉

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18日木曜日の朝。腕時計が床に落ちて壊れている原因はやはり地震や人為的ではなく、愛猫ももによるものだった。つまり、昨夜の最後の『ガシャン‼︎』が腕時計の落下した時の音だったのだ。

だがしかし、ももを責める気持ちはない。元はと言えば、いつも腕時計をしまうケースではなく、棚の上(ももの運動会テリトリー)に置いてしまった私が悪いのだ。そんな事を思いながら、床の上の腕時計をもう一度、眺めていた。

 

〈エピローグ_リューズと重み〉

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その後、ベルト部の破損部品を手配し交換した。元どおりのしっかりした着け心地になったことを確認し、文字盤の側面にあるリューズを右回転に15回程度巻き上げる。普段から土日で1、2度は巻くことのあるリューズだが、巻き上げ中に『重み』を感じた。これは故障のような物理的な重みではなく、気持ちとしての話だ。今回の件で愛用品としての想いが更に強くなったことを自分の中で感じた。手を掛ければ掛けるほど愛着が湧く。(これは決して『モノ』だけの話ではなく、『人』にも同じことが言えるのではないだろうか)

 

そんなことを考えてる私を横目に、13年以上働き続けた腕時計が1週間の休息を経て、静かにまた時を刻み始めていた・・・

 

 

 

あとがき

実体験での『ほぼノンフィクション小説』で書き始めたため、リアリティを出しやすい部分もある一方で、劇的な展開、表現は難しい部分もありました(汗)

本当は、好きな作家先生方のような読者を引き込む雰囲気が少しでも出せればいいなと思いましたが、やはり難しいですね。そもそも、文書を書くのが苦手なので、おこがましいにも程がありますね(汗汗)

 

長くなりましたが、最後までご覧頂き有難う御座いました。床に、否‼︎、地べたに額をこすりつけ、御礼を申し上げます。

m(_ _)m m(_ _)m m(_ _)m m(_ _)m

また今度はいつも通り、ゆるゆるの記事を書きますので宜しくお願いします。

 

以上、ではでは( ⸝⸝•ᴗ•⸝⸝ )੭⁾⁾